@article{oai:nsu.repo.nii.ac.jp:00000356, author = {内橋, 賢悟}, issue = {62}, journal = {新潟産業大学経済学部紀要, BULLETIN OF NIIGATA SANGYO UNIVERSITY FACULTY OF ECONOMICS}, month = {Feb}, note = {論文(Article), アメリカの指導的ラディカル派経済学者であるサミュエル・ボウルズ(Bowles, S)は、ミクロ経済理論と人間行動もしくは制度との相互作用を通じて、経済社会が如何なる進化を遂げてきたかを根元的な視点を通じて統合しようと試みる。一方、その対極に位置するとされワルラス型の均衡概念おいて、完備契約市場は市場の非合理性を正すことが中心テーマとして据えられ、ゆえに経済主体や市民は不道徳的ではないことが前提とされる。ところが同パラダイムは、それが有する理論的対象の範囲、経済主体に関する仮定、均衡概念などの理論的特徴から成ることが認識されている。この均衡概念は、要素還元主義・方法論的個人主義に基づき自己考慮型で将来展望型の個人の存在を仮定していると認識される。完備契約に基づく方法論的個人主義を相対化しながらも、不完備契約的な他者考慮型で経験から学ぶ過去振り返り型の限定合理的な個人を仮定するに至るわけである。ゆえに完備契約を制度移植する場合、「移植」対象国において封建的企業による企業統治構造自らが契約の不完備性を生み出す現象が避けられなくなる。たとえば外生的制度移植が諸制度間の平等な補完関係を意味するものではなく、むしろ企業統治構造の階層的上位に位置する制度が下位制度に対して支配的規定性に基づいて成立する「制度の補完性」が生み出されるようになる。とりわけ1990年代以降のグローバリゼーションが制度階層性の逆転をもたらすと、市場競争が階層の上位に位置することによって、それが企業統治構造に強い規定力を持つ現象が認められるようになった。韓国はじめアジア諸国において、中国依存型のアウトソーシングの強化につれて企業統治構造の封建性が強まる現象が認められるようになったのは、その典型的な事例である。市場ベース型資本主義への「移植」が同システムとは真逆の集権的配分システムに基づく企業統治構造をもたらすに至ったため、このような現象が生じたのである。このように企業統治構造において個体群が階層性を強まるようになると、さらに集権的な企業統治構造が成立するという現象が強まるようになる。分権的配分に伴わない要求を押し付ける市場主義システムが、「移植」対象国の封建的な不完備契約に基づく資源配分をもたらすためである。やがて競争主義的な経済パフォーマンスに政策の焦点が絞られるようになると、劣った経済パフォーマンスをもたらす制度諸形態が除去されるようになり、市場機能もいっそう強化される。そのため市場機能の効率性を通じて、政治的諸条件に基づく政策介入が軽視されるに至る。昨今のIMF主導の政策にみられる企業統治構造におけるシグナリング効果は、IMFに担わせる政策を展開している。企業への再分配が政府ではなく市場自らが担うようになり、このような現象が認められたのである。市場ベース型資本主義への「移植」が、契約の不完備性を強める「意図せざる結果」を生み出すに至ったわけである。, application/pdf}, pages = {1--25}, title = {米国による完備契約市場の対韓移植に伴う不完備契約市場の成立 : 韓国財閥にみる市場ベース型資本主義「移植」に伴う諸現象の解明}, year = {2023} }